本県にゆかりの深いミュージシャン40組余りが、コロナ禍で沈む本県の音楽界を元気づけようと力を合わせるプロジェクト「ヒカリノハコ」主催のフリー(無料)ライブがこのほど、水戸市宮町のエクセル屋上で開かれた。
同プロジェクトに参加するミュージシャン13人が出演し、気持ちのこもった弾き語り演奏などを3、4曲ずつ披露。会場では、約300人が熱心に耳を傾けた。
同プロジェクトに参加するミュージシャンは、プロやセミプロ、学生などさまざま。
同プロジェクトは4月、参加メンバーの内の25組が、プロジェクトの趣旨に沿って仕上げたオリジナル曲を収録したアルバム「茨城大爆発」を発売した。今ライブに参加したミュージシャンのほとんども同アルバムに参加していて、収録曲も披露した。
同プロジェクトの中心メンバーで、東京を拠点に活躍するプロのロックバンド、「THE BACK HORN(ザ・バックホーン)」のボーカル・山田将司さん(41)は、「参加ミュージシャンの純粋な思いが鳴り響く、とても美しい時間だった。音楽を止めることなく鳴らし続けたい」と話していた。
アルバムは同プロジェクトのホームページから購入できる。プロジェクト名で検索。
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4番目に出演した朝日駿さん(36)は、日立市出身。「生きることへの渇望」を歌にしたというアルバム収録曲「ラスト・フォー・ライフ」を含んだ4曲を披露。
「僕たちミュージシャンにとって、演奏することは生きることそのもの。今日のライブは、出演者それぞれの思いをバトンする機会になった」と朝日さん。
6番目に出演した後藤ヒロフミさん(34)は、水戸市を拠点にする2ピースバンド「透明なままで」のボーカルギター。アルバム収録曲「落ちていく、無力なまま」を含む4曲を演奏。「心の叫び」そのものの歌声で魅了した。
「活動が制限されたり、自粛させられたりする今、貴重な時間をいただいた」と後藤さん。
8番目は、ハナミズキで全国に知られるマシコタツロウさん。ハナミズキの完成秘話も披露した。
10番目の平山舞桜(まお)さん(20)は、最年少で、紅一点だった。同市出身で、現在は東京を拠点に活動する。演奏した3曲の冒頭が、同アルバム収録曲の「2020(トゥエンティー・トゥエンティー)」だった。
平山さんは、「コロナ禍の中で起きたこと、感じたことをすべて詰めた曲。苦しみも前向きに捉えたいという気持ちも込めた」と話していた。
11番目の大谷修登さん(26)の演奏途中には、激しいにわか雨が振り付けるハプニング。大谷さんが、雨をものともせずに演奏を続けると、見ていられなくなった熱心なファンがステージにかけあがり、傘を広げた。
アルバム収録曲「drawing(ドローイング)」を含む4曲を披露。同曲には、コロナ禍でバンド活動が行き詰まる苦しさを、ありのままに描きつつ、それでも前を向きたいという気持ちを込めた。
「ヒカリノハコは、茨城のすばらしさ。そこで音楽をつづける意義を、改めて教えてくれた」と大谷さん。
大トリは、森公一さん。4月には、自身のオリジナルアルバムもリリースしている。時折、客をにらめ付けるような、鋭い視線を送りながら演奏した。
アルバムに収録した「始まりの歌」を含む4曲を披露。「コロナ禍でつまずいてしまった僕たちミュージシャンが、再び歩き始める『始まりの歌』として描いた。ヒカリノハコにはとても感謝している」と話していた。