行方市出身の元高校球児、木川尚紀さん(21)が、演歌歌手としてデビューする。デビュー曲は、「泥だらけの勲章」。歌詞は、今も暮らす実家が、代々続く農家であることから着想された内容。8月21日にテイチクエンタテインメントから発売される。
木川さんは、小学生のころからののど自慢で、地元のスーパー銭湯や、父親のなじみのスナックでも美声を聞かせた。
玉造工業高校野球部で白球を追った当時も、「遠征試合に向かうバスの中でいつも歌っていた」。チームメートに請われて、ピッチャーマウンドをステージにして歌うこともあった。
演歌好きは、父親と祖父母の影響。「同世代の友人らが聞くヒット曲も嫌いではないが、しっくりこない。三波春夫さん、三橋美智也さん、春日八郎さんら昭和のスターが、僕のスター」と言い切る。母親は4歳のときに亡くしている。
高校卒業後は、歌手になる夢を胸に秘めながら地元の会社に務めた。デビューのきっかけは、知人に勧められて出場した自由参加の歌謡イベント。作曲家の花岡優平さんの目にとまり、話が進んだ。
東京で音楽活動する話もあったが、目を患っている父親の世話のためもあって、地元に残ることにした。
デビュー曲に、「心に広がる果てない荒野 たがやしてゆくことが人生だから」という歌詞があり、「何度歌ってもぐっとくる」と木川さん。ステージ衣装は、油に汚れた作業着。デビュー曲のこの歌詞を読んで自分で決めたという。先月まで勤めた会社で実際に着ていたもので、レコーディングの際もディレクターらに懇願して、作業着を着た。