3人で歩むラジコン道 金谷さん親子 舞台は畑の中のサーキット(茨城・鉾田市)
左から幸光さん、幸晟さん、陽子さん

 周囲に畑が目立つ鉾田市舟木の一角に、週末には県外ナンバーの車も多く訪れる施設「DRIFT BASE(ドリフトベース)」がある。外観は秘密基地といった風で、中では、ラジコンカーがうなるような音を立てて走っていた。

 施設代表の金谷陽子さん(50)は、ラジコンを操る利用者らに「陽子ママ」と呼ばれるなど、とても親しげな様子。陽子さんは、「愛好家の遊園地のような場所が目標。人の人生を豊かにするお手伝いがしたい」と話した。

 ここは、ラジコンのサーキット。一般的なラジコンではなく、ドリフトラジコンカーという分野の専門のもの。

 ドリフトラジコンは、アイススケートでいえば、フィギュアスケート。走る速さではなく、美しさを競う。走行中は、ドリフトと呼ばれる車体を横滑りさせる技術を駆使する。世界大会もある人気分野で、ドリフトベースは、国内トップレベルの試合の会場にもなっている。

 運営するのは陽子さんと、夫の幸光さん(55)。オープンは2021年。きっかけは、2人の息子の幸晟さん(17)がつくったものだった。

 幸晟さんは、小学4年のときからドリフトラジコンに夢中。国内と世界の大会でも実績を残し、最高位は世界選手権準優勝。過程では、スポンサー企業の支援を受けるプロレーサーの肩書きも獲得した。

 しかし幸晟さんは、「ドリフトベースのオープンについては、誰よりも驚いた」と話す。

 オープンの発起人は、陽子さんだった。

 陽子さんを駆り立てた思いは3つある。1つは、ドリフトラジコンに魅了されたこと。「老若男女が同じ舞台で楽しめるのが最高」。2つ目は、将来性。「この世界で日本のメーカーは世界一」。3つ目は、「わくわくした思いを抑えきれなかった」。

 幸光さんは、陽子さんの思いに強く賛同して、会社勤めを辞めた。

 幸晟さんは一昨年から、実際の車のドリフト競技にも取り組む。実車のレーサーに勧められたのがきっかけで、「共通点が多い」という。いわばドリフトの二刀流は、話題を呼び、スポンサー企業が増えることにもつながった。

 ますます“車”に熱中しているといえる幸晟さんだが、今、一番時間を割いているのは、「受験勉強」と、きっぱり。

 両親は、その言葉に大きくうなずいた上で、「全力で取り組む趣味があるのはすばらしいこと。私たちは、幸晟を含むそんな人たちを、全力で応援する」と、誓いを込める。

 同施設☎090・9358・5899。

 

 

 

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