美しさを求める点で、バレエのジャンプは、フィギュアスケートのジャンプと似ているが、違いもある。特に競技としてのフィギュアスケートでは、予定したジャンプが跳べたかどうかに大きな注目が集まるが、バレエでは、跳べることは前提に過ぎない。
代わりに求められるのは、徹底的な完成度の高さ。指先や足先はもちろん、そこに至るひじや膝の角度や高さ、旋回具合もチェックポイント。「それらすべてが理想的なとき、体全体で理想のジャンプ姿が仕上がる」と、鹿嶋市緑ヶ丘でバレエ教室「MIRAI BALLET(ミライバレエ)」を開く掛田未来(みき)さん。
7歳から掛田さんに学び、今は同スタジオの助教を務める濱田梓さん(28)は1月中旬のある日、レッスン開始の2時間前からウオーミングアップを始めた。体をほぐして、トウシューズを履く前には、足の爪の形を入念に整えた。
濱田さんには、助教のほかに、東京の舞台にも立つプロバレリーナの顔もある。
バレエに、心から夢中になったのは、小学4年のとき。きっかけは、初めてのコンクール出場。出番前の緊張感は「気を失ってしまいそうなほど」だった分、演技を終えた時の感動がとても大きかった。
年齢的なことと、結婚したことで、プロとしての第一線を退く日は遠くないと考えている。
でも今も、バレエに心も体も弾ませている。ウオーミングアップに時間をかけるのは、「バレリーナである以上、プロでなくても、理想の演技やジャンプも追い求めるもの」