常陸太田市に住む女性2人が、本県の県北地区に暮らす先輩女性たちの人生について、インタビューをもとにまとめた本「地域に生きる女性たち」をこのほど出版した。その人の生い立ちや今の暮らしについてじっくりと聞く「ライフヒストリー」という手法で話を聞き、約10年がかりでまとめた。
大正時代から昭和30年代生まれの11人を、実名で収録。「地域に根差し、時代の影響を受けながらも自分らしい生き方を切り開いてきた人たち。身近な人の人生の中に、迷ったり、悩んだりした時の生き方のヒントが詰まっていた」と2人。
2人は、茨城キリスト教大学児童教育学科教授の中島美那子さんと、NPO法人「結」理事長の塩原慶子さん。2人とも日立市生まれで、結婚などをきっかけに、常陸太田市に住むようになった。
「見知らぬ町に移住し、知り合った先輩女性たちの中に、さまざまな気づきを与えてくれる人たちがいた」と、塩原さん。同じような思いを持っていた中島さんと出会ったことが、出版へつながるきっかけになった。
「『農』と共に生きていく」「『公』の中で生きていく」「『商』と共に生きていく」などの5章立て。
1章は、親の決めた結婚をして農家に嫁ぎ、厳しい義父に仕えながらも、「田んぼと畑を往復するだけの女では終わりたくない」という思いを持っていた女性の話。農業新聞への投稿をきっかけに各地の農家の女性たちとつながり、念願の自分史を発行したことなどが語られている。
「世代や時代、地域を超えて、戦前・戦後を生きた女性たちの物語として読んでもらえたら」と、中島さん。
四六版281㌻。渓水社刊。1冊税別1900円。書店のほか、インターネットの販売サイト「アマゾン」などで購入できる。
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