県立水戸南高校(川内孝雄校長)でこのほど行われた創立50周年記念式典の第2部で、同校の元教諭や卒業生を招いた記念講演が行われ、30~80歳代の4人が登壇、それぞれの経験から生徒たちにエールを送った=写真。
記念講演には、有名人を招くことが多いが、同校では、この学校ならではのものにしようと、ゆかりの人たちを招くことにした。登壇したのは、創立当初に夜間制の職員だった久保田修さん、第12代校長を務めた矢須恵由さん、卒業生で日立市の緑川信夫さんと、笠間市出身の幾浦裕之さん。
緑川さん(73)は、「38歳からの高校生&母校への恩返し」と題して講演。小学1年の時に母親を亡くし、中学卒業後は働きに出た。友人らにすすめられて同校の通信制に38歳で入学。同校の坂道を初めて上がったときの胸の高鳴り、卒業証書を持ち帰ると、父親が「よく頑張ったな」とほめてくれたときのうれしさなどを話した。
幾浦さん(31)は、「小学6年の時に不登校になった」。同校の定時制に入った当初は目的が持てなかったが、国語の先生のユニークさにひかれ、「国語の教科書にのっていることは面白そうだ」と思えた。もっと知りたいという気持ちが膨らみ、早稲田大学教育学部に進学、現在は同大学院教育学研究科博士後期課程で学んでいる。「好きなことが見つかり、時間をかけて自分を変化できた。南高校は私にとってそんな場所だった」と話した。