神栖市の波崎地区と、千葉県の銚子市の梅雨時の味覚に、「入梅いわし」がある。6、7月に銚子漁港などで水揚げされる1年で最も脂が乗ったイワシのことだ。今年は、「イワシの成長が遅め」というが、そろそろシーズンイン。
神栖市波崎の花寿司は、銚子漁港水揚げの魚介の味を広めようと飲食店が手を取り合う「銚子うめぇもん研究会」の、本県唯一の参加店。この時期は毎年、「入梅いわしおまかせ御膳」(2800円)をメニューに載せる。内容は、漬け丼、にぎりなどを含めたイワシづくし。
同店主の篠塚正司さん(70)には、子供時代に、入梅いわしの思い出がある。「この時期になると漁師の家にイワシをもらいに行った」。無料で分けてくれるのが当たり前で、家では丸干しに仕上げた。
これは、波崎地区の、ある年代以上の共通の思い出で、そのせいもあって、「イワシにお金は払えない」という認識も根強かった。変わったのは、冷蔵技術が発展して、刺し身を気軽に食べられるようになってから。「どんな高級魚にも負けないほどのおいしさだからさ」と篠塚さん。
同店☎︎0479・44・2457。