江戸時代に、水戸藩が建てた施設「那珂湊反射炉(はんしゃろ)」の特別展「那珂湊反射炉−鉄と近代を創る−」が、水戸市緑町の県立歴史館で開かれている。4月7日まで。
反射炉は、鉄製の大砲を製造する施設。幕末期、幕府や藩が、海防のために建てた。静岡県の「韮山反射炉」は、世界文化遺産・国指定史跡になっている。
今展では、場所がなぜ那珂湊(現ひたちなか市)だったのか、資材、原材料はどこから供給されたのかなど、反射炉建設や大砲鋳造の過程や、藩や身分制度も越えて結成された技術チームの実態を紹介。展示資料は125点。
技術者の1人、盛岡藩士の大島高任にもスポットを当てた。大島は、那珂湊で技術を磨いた後、釜石(岩手)で製鉄事業を始めた。
那珂湊反射炉の建設当時の様子を再現したVR(仮想現実)動画も見られる。
「西洋由来の反射炉を日本人だけで造った技術と経験が、近代産業の成立に寄与した。その過程を見てもらえたら」と、同館資料調査専門員の飛田英世さん。
入館料一般610円、70歳以上300円。月曜休館。同館 029・225・4425。