《見頃は例年4月上旬。今年は遅れ気味》
大子町大生瀬にある沓掛(くつかけ)峠は、かつての馬や牛の放牧地を、地元集落で整備した桜の名所。整備を初めて約30年になる。山桜は、もともとあったものと、住民らが若木の頃から見守ったものが交ざる。ソメイヨシノもある。合わせた数は約350本。例年4月上旬から約2週間見頃になる。
道路沿いの駐車場から、峠の斜面に、頂上まで続く遊歩道がある。頂上までは、ゆっくり歩いて15~20分ほど。足元には、春の草花も顔を出す。所々にベンチが置いてあり、弁当を広げる人も多い。
見頃が遅いのは、標高450mという高さから。桜と併せて、周辺の山々を望める眺望も魅力になる。
管理しているのは、「沓掛峠の山桜を守る会」。2代目会長の佐藤晋さん(52)は、毎年、開花が近づく3月になると、「桜のことで頭がいっぱいになります」。毎日のように峠に出かけ、様子を見守る。
峠までの道への案内看板の設置も大事な仕事。山深い道中は、だんだん道路が細くなるため、不安に思って戻ってしまう人もいるという。「今年もみんなで開花を喜べれば」と、佐藤さん。