「国内屈指のパワースポット」などと称されて、全国の注目を集める日立市入四間町の御岩神社に、神社関係者が静かに守り育てている“緑の名所”がある。場所は、三本杉周辺から、栗唐不動池までの参道沿い。一帯の地面が、分厚いコケで覆われている。
コケは見るからにやわらかく、ふかふか。緑にもさまざまな種類があり、木漏れ日が当たる場所とそうでない場所でも違う。アニメ映画「となりのトトロ」の世界に飛び込んだ気分にもなる。
「自然に増えたものですが、苦労もあるんです」とは、同神社巫女(みこ)の下条美樹さん。
以前、一帯は、土がむき出しになっていたという。コケが増え始めたのは、周辺の掃除の仕方を変えた10年前から。「熊手で落ち葉を集めるのをやめて、手で拾うようにしたのです」。掃除の仕方を変えたのは、コケに愛着がある宮司の依頼から。ただ、掃除担当者の多くが高齢のため、「腰に負担がかかるという心配もあります」
コケの緑は、年間を通して美しいが、梅雨の晴れ間が一番だという。