北浦湖岸に位置する行方市吉川の農業、大平和久さん(64)宅で、葉ショウガの収穫が最盛期だ。作業場に響く大きな音は、高圧洗浄機から吹き出す水で、葉ショウガの可食部の土を落とす際のもの。赤みのある肌色が見えてくると、「見るからにやわらかそうでしょ。みそを付けてかぶりついてほしい」と大平さん。
大平さんは、父、旭さん(89)を継いだ2代目。旭さんは、周辺で先駆けて葉ショウガの栽培を始めた人物。吉川地区の砂混じりの土壌が、葉ショウガ栽培に適していると考えたという。
農家仲間などを誘って、一時は25軒ほどが葉ショウガを栽培するに至った。後継者不足などのせいで、今は大平さんだけが、栽培を続けている。
葉ショウガの可食部には、ツバメという別称がある。形が、ツバメが飛ぶ姿に似ていることと、ツバメが元気に飛び回る時期が収穫期と重なることからだという。食卓に並べる際、ツバメの形に似せる飾り切りをする文化も残るという。
収穫は7月末頃まで。同市玉造甲の観光物産館こいこい、農産物直売所楽郷などで販売。