炊きたてごはんのおにぎりがメインの「おにぎりセット」(350円)や、「焼き魚定食」(500円)などを提供する「おふくろ亭」(潮来市前川の道の駅いたこ内)の“朝食営業”は、昨年10月、コロナ禍による売り上げ減を受けて始まった。
朝から出掛けやすい季節になっていることに加えて、4月には、客の声を受けてメニューに磨きをかけた。あすには、水郷潮来あやめまつりが同市内で開幕することもあり、「今がおすすめ」と言える“朝めし処(どころ)”だ。
メニューは、米どころの土地柄を生かしつつ、意欲的。ベトナムの麺のフォーを、同市産の米で仕上げた「朝フォー」(500円)は3種用意。「トーストセット」(500円)のパンは、どぶろく酵母で仕上げたものだ。
フロア担当も調理担当も全員、同市と周辺の女性たち。50歳以上のお母さんらで、おふくろ亭という店名の通り。
20年前の道の駅いたこのオープンと同時に、前身の店に勤め始めたというのは、女性たちの代表を務める額賀啓子さん(67)。「ずっと前から朝食営業をした方がいいと思ってたんだ。朝が大好きだから」
総勢16人が勤務し、額賀さんが朝食営業を担当するのは、週4日ほど。
担当する朝、額賀さんは4時に起きる。夫の朝食と仏壇のお供えを用意して家を出る。「農家の嫁だし、苦労とも思わない」。ほかの女性たちも、おおむね同じような流れで出勤する。
女性たちの家庭の味が反映する同店のメニューは、「ちょっと濃いめかも」。看板メニューのおにぎりは、手で握るのがこだわり。新人はきっちりと指導を受けるが、現場に出て3か月ほどすると、三角だったり、まん丸だったりと個性が出てくるという。「それで良いと思っているんだ」と額賀さん。
客層は広い。5月上旬、「今日で3日連続」と話した岸紀子さん(53)は地元組。「こんなにきちんとした朝食は、自分ではなかなかできない。近所でラッキー」
成田一幸さん(27)は、東京の映像制作会社「グランツ」のチームの1人。ほど近い潮来インターチェンジで降りて、まずは腹ごしらえをと立ち寄った。「茨城の絶景を探しに行くよ」と声を弾ませた。
夏が来ると、同店には新米という新たな魅力が加わる。同市は、早場米でも有名で、お盆前に収穫が始まる。「まっ先に食べてもらいたい」と額賀さん。
☎︎0299・67・1161。