時を超えて伝える涼、静、息吹 偕楽園の孟宗竹林(茨城・水戸)
偕楽園内の孟宗竹林。反対側の杉林と対になり、年間を通して緑に覆われている

緑の季節

 水戸市の偕楽園の表門をくぐると、約1000本のモウソウチクからなる「孟宗竹林」が広がる。広さ3800平方㍍の空間は、幹の緑と葉の緑で、一面緑の世界。竹林が木陰をつくっていて、涼しさも感じられる。

 よく見ると、少し白みがかった青緑色の竹が混ざっている。「これは、今春顔を出したタケノコが伸びたものです」とは、同竹林を維持管理する造園会社「植幸」の石川聡さん(50)。幹の根元にタケノコの茶色い皮が残っている竹もあるが、先輩竹と同じような背丈まで伸びている。出てきてまだ数か月なのに、すごい成長力だ。

 竹林の中には入れないが、仕切りの柵際に伸びている若竹には、手のあとがついていることが多いという。「思わずさわりたくなるのかな。若々しい緑色と、この成長力に、私も力をもらっています」と、石川さん。

 同園のモウソウチクは、江戸時代の造園当時、弓の材料にするために植えられた。京都の嵯峨、八幡から取り寄せた記録が残る。現在の竹林は、5年で伐採しながら景観を保つなど、緻密に管理している。

 石川さんのおすすめは、早朝訪ねること。「人けがなく、静か。別世界に来たかのようです」

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