日立市下深荻町のリンゴ園「源ちゃん農園」が栽培するリンゴがこのほど、県の特別栽培農産物の認証を受けた。県内のリンゴでは、初の認証。「リンゴは皮もおいしい。安心して食べられる、コクのあるリンゴを追求しています」と、同農園の與澤巧さん(39)。
県の特別栽培農産物の認証制度は、化学合成農薬や化学肥料を削減するなど、一定の条件を満たして生産された農産物を認証するもの。
同農園では、9つの畑のうちの1つの畑(広さ約20㌃)のリンゴが認証を受けた。
與澤さんは会社員だった28歳の時、リンゴ農家をしていた祖父の源太郎さんが亡くなったことをきっかけに、畑を引き継いだ。源太郎さんは89歳で亡くなる半年前まで、畑に立っていた。「じいちゃんのリンゴをなくしてしまうのは忍びない」と、親戚と協力して栽培を開始。祖父への思いに加え、リンゴの木への愛着がわき、翌年会社を退職した。
最初の1年はうまく栽培できたが、その後数年は試練が続いた。「初めは、うぬぼれていました」と與澤さん。花が咲かないなどが続き、先輩のリンゴ農家に教わったり、専門書を読み込んだりした。
農薬を減らす栽培に取り組み始めたのは、その過程でのこと。農薬を少なくする分、栽培に手間がかかり、収穫量も減るが、自分の理想のリンゴを目指して、栽培に励んでいる。
12月末までの土、日曜の午前10時~午後4時は、同町内の「日立中里フルーツ街道」沿いで、直売を行っている。