鉾田市の元大工、根本光義さん(71)は、趣味でミニチュアの五重塔を制作している。ヒノキやケヤキを削り出した大小万単位の部品を組み上げた精巧な作り。これまでに7作品を仕上げたが、「作れば作るほど、奥の深さを感じる。まだまだ作りたい」と根本さん。
最新作は、昨年11月に完成したもので、高さ約2㍍80㌢。実際の塔の約20分の1のサイズを基本に、図面を引き、屋根や梁(はり)、柱など部品一つ一つから制作。接着剤は使わないのが根本さんのこだわり。モデルにしているのは、京都・東寺の国宝に指定されている五重塔。屋根には、瓦の代わりに銅板を敷いた。
塔のミニチュア作りを始めたのは2014年。大工を引退し、父親の形見の建築の本を見ていたときに、五重塔の図面が目に入り、久しぶりに「作ってみたい」と胸が高鳴った。その図面を拡大し、実際の塔を何度も見に行って制作した。
五重塔作りにひかれる理由の一つに、昔の大工の技術の高さへのあこがれもある。「実際の塔は高さ約55㍍。大型機械がない中で作り上げるのは、大変な作業だったはず。尊敬ですね」と、根本さん。