茨城町長岡の米川一行さん(69)はこのほど、地元にある高岡神社の本殿の設計図を、約1年8か月がかりで仕上げた。米川さんは4月中旬まで、自宅で設計事務所を開いていた設計図作りのプロ。製作した設計図には、「もし今後倒壊してしまっても、神社があった記録が残れば」という願いを込めている。
同神社は、子どもの頃に遊んだ思い出の場所。本殿の建築年は、明治時代ではと推測するが、資料がなく、近所の先輩たちに聞いても正確にはわからなかった。本殿の建物が傷んでいるのは、以前から気になっていた。
設計図作りは、メジャーで本殿の寸法を測ることから始めた。正確な図面にするため、4分の1サイズの模型も作りながら書いた。
本殿の造りで驚いたのは、斗きょう組という組み手の複雑さだという。斗きょうは主に柱上にあって、深い軒を支える仕組み。同神社の斗きょうは400個近くあり、この大きさの神社にしては数が多いという。
「当時の地域の財力を考えると、ここまでのものを作るのは難しかったはず。いいものを造りたいという、職人さんの意地だったのかな」と、米川さんは推測する。
模型は、高さ約2m、幅約1m、奥行き約1m70cm。模型の製作工程も写真データに残したという。