那珂市菅谷に本店があるパン店「パン工房ぐるぐる」の店主でパン職人の栗原淳平さん(37)が、来年10月にドイツで開かれるパン製造技術の国際大会に日本代表として出場することになった。
大会名は「iba cup(イバ・カップ)」で、ヨーロッパなど12か国の代表が参加。各国とも2人の代表と監督のチームで戦う。イバ・カップは、パンの国際大会として世界で指折りの規模だ。
4種の生地からつくるさまざまなパンの味と見た目を競う。段取りの良さも勝敗を分ける。
栗原さんは常陸太田市生まれ。原点は小学校5年のとき、自宅のオーブンで焼いたクッキー。中学のクリスマスには、自作ケーキを両親に買い取ってもらうほどの腕だった。高校に入るとパン職人の道に照準を定めた。専門学校と修業を経て、2011年に現在の店を開いた。
パン製造の競技者としての夢は常に温めていた。予選会に出場したり、国際大会に応援に行ったこともある。しかし、競技者としては若くない。「近年は、一流の技からもらう刺激が目的だった」
イバ・カップの予選会出場を決めたのは、古い仲間に「一緒に世界で戦おう」と誘われたことから。勝ち抜いたのは栗原さんだけだったが、「誘ってくれた仲間を含む日本のパン職人全員の代表のつもりで戦う」と決意を込める。パートナーは、東京で働く25歳の女性に決まった。
大会が開かれるまで、休日返上の覚悟だ。パートナーとの合同練習も必要。監督からは多くの課題が届くことになるという。
同店の店頭には、代表決定を祝う花が並ぶ。栗原さんは、「見るたびに涙がにじむ思い。お客さん、店のスタッフ、家族の支えがあってこそだとあらためて感じている」と話している。