水戸市の高校1年生、悉知信(しっち・あきら)さん(16)が、国家資格の令和5年度行政書士試験に合格した。将来は弁護士になることが夢で、法律系の国家資格に初挑戦した。「合格で、少し自信がついた」と、笑顔だ。
行政書士の仕事は、役所への許認可申請や遺言書の作成など、市民のさまざまな法的手続きを支えること。資格試験の合格率は、例年10%台と難関で、受験者の年齢は30~50代が中心。今年度の19歳以下の合格者は47人だった。
悉知さんは、通信制高校のN/S高校の水戸キャンパスに通っている。登校は週3日ほどのため、「空いた時間を将来のために使おう」と、資格取得を決意した。
勉強を始めたのは昨年4月下旬で、試験は11月。悉知さんは、学校の勉強との両立を第一に、1日あたりの勉強できる時間と、試験までの残りの日数を調べて、逆算をして計画を立てた。
学んだことを忘れにくくするために、ドイツの心理学者エビングハウスが提唱した「忘却曲線」を利用して、ベストな復習のタイミングも計算した。同曲線は、時間の経過と記憶の関係を実験で示したものだ。
合格できた一番の理由は、「スマートフォンやタブレットなどを利用して勉強できたこと」。通学時の電車の待ち時間などのすきま時間に、すぐに参考書を見られるようにした。法律の解説をしている授業動画なども役立てた。
高校では政治部に所属。市議会や裁判の傍聴も重ねている。夢は、人の心に寄り添える弁護士になること。「試験勉強を通して、国や行政機関の仕組みや、国民の持つ権利について知ることができた。今後も勉強を続けたい」と、悉知さん。