常陸大宮市辰ノ口の小林和信さん(68)宅にある梅の古木には、一見して梅とは違う、桜にも見える枝が生えている。枝が伸びているのは、地面から約2㍍の場所で、長さは約1㍍。先日は、桜だと思われる花も付けた。
梅の木は30年近く前に移植したもので、移植した当時、すでに見上げるほどの大きさだったという。雰囲気が違う枝があるのに気が付いたのは、昨年の秋のこと。小林さんの旧友で、造園業の黒沢常夫さん(69)が第一発見者。黒沢さんは、「木に登ってせん定をしたから、すぐに分かった。でも、桜かどうかの確信は持てなかったから、春の開花を待った」と話す。
那珂市の県植物園「緑の相談室」の河合良一さん(72)は、「梅の木に桜だなんて、おもしろい」と話した上で、メカニズムを推測した。
古木の幹には、洞(うろ)とよばれる空洞ができることがあり、その内部は、木くずがたまるなどして、別の植物が生育する環境が整うことがある。そこに、鳥のふんに交じるなど何らかの要因で桜の種が落ち、成育した可能性が高いという。
小林さんは、「実を収穫して梅干しをつくるなど、ずっと寄り添ってきた木だが、新たな魅力が見つかった。自然の不思議にも、黒沢さんにも感謝です」とうれしそう。