200年ぶりに浜降祭(はまおりさい) 吉田神社で10月26日 神輿を船に乗せ 那珂湊漁港へ(茨城・水戸市、ひたちなか市))
絵解き=那珂川を船で渡御する同神社の御輿と、神主の入江優有さん(24)

 水戸市宮内町の吉田神社で10月26日、神事「浜降祭(はまおりさい)」が200年ぶりに行われる。同神社の御輿(みこし)が船に乗って那珂川を下り、ひたちなか市和田町の「田所磯」に向かう大がかりなものだ。田所磯は、現在の那珂湊漁港の中にあったとされる磯の名前だ。

 同神社の宮司、滑川久美雄さん(67)は、「4年以上かけて準備を重ねてきた。200年ぶりということで不安もあるが、関係者や地域の人たちに見守っていただければ、立派に斉行(さいこう)できるはず」と話す。

 実施が決まったのは、同神社の御輿会、鳳(おおとり)会が、発足50年を迎えることがきっかけだった。

 御輿が同神社を出てから戻るまでの時間は、およそ15時間。その間には、数えきれぬほどの催事があるが、200年ぶりということで、ほぼ資料はなかった。

 実は、浜降祭という名前自体も、同神社の関係者や地域の間で、口づてに伝承されてきたもの。正式な資料はない。

 内容を決めるよりどころになったのは、聞き取りで集めた口承の内容と、同神社に保管された書物、常陸吉田神社事跡考(じせきこう)の文章。浜降祭のあらましが百数十文字で記されている。準備の途中では、資料を求めて県外にも出掛けることもあった。

 

 

 10月26日は、同神社の秋季例大祭の3日目。浜降祭の大まかな流れは次の通り。

 午前6時=御輿が同神社を出発。ひたちなか市野球場で神事。7時半~8時25分=御輿が船で那珂川を渡御。同市伊沢マリーナまで(川沿いからの観覧可能)。9時45分~11時=同市那珂湊おさかな市場前を渡御。山車の運行も。11時半=那珂湊漁港で田所磯神事。

 田所磯には、吉田神社にまつられる日本武尊(やまとたけるのみこと)が乗船していた船が座礁したという言い伝えがある。船は、東方征伐に向かう途中だった。座礁した船は、怪力の従者、田所が持ち上げたことで事なきを得た。

 問い合わせは同神社029・247・6464。

記事中写真=常陸吉田神社事跡考(複製)を差す宮司の、滑川さん

 

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