日立市十王町高原出身の児童文学作家佐々木ひとみさん(59)の講演会「ふるさとは、たからのまち~児童文学で未来に伝える~」がこのほど、同市立多賀図書館で開かれ、佐々木さんのふるさと愛や物語に込めた思いに、61人が聞き入った。
同市立記念図書館が、開館60周年記念の文学講座として企画した。
佐々木さんは、宮城・仙台市在住。2010年、十王町(現日立市)を舞台にした「ぼくとあいつのラストラン」(ポプラ社)で、第20回椋鳩十児童文学賞を受賞。同作は映画「ゆずの葉ゆれて」の原作にもなった。ほかの作品も、旧十王町や、第2のふるさとの仙台市をテーマに物語を編んでいる。
講演で、佐々木さんは、学校の図書館の本はほとんど読んでしまい、百科事典も読んでいたという子ども時代のことや、病院勤務、コピーライターの仕事を経て、自分が読んできたような物語を書きたいとの思いがあふれてきたことなどを紹介。
旧十王町時代は、「不便でつまらない」と思っていたが、結婚を機に仙台に住み、その土地にしかない魅力があることに気付いたという。「足元にある宝物を見つけて、磨いて、そこににしかない物語を書きたい」と話した。
来場した市内の鈴木智子さん(67)は、「地元日立のいいところを、もっと見つけてみようと思いました」と話していた。