日立市の薬膳料理家、宮沢孝子さん(56)が昨年自費出版した本が6月、料理本のアカデミー賞と称される「グルマン世界料理本大賞」の自然食部門で2位に輝いた。
本のタイトルは、「母が紡ぐ和の薬膳」。内容は、自分史と、思い出の薬膳料理のレシピ集を組み合わせたもの。レシピの多くは、宮沢さんの母がかつて、薬膳料理だと意識することもなく作ってくれたものだという。
同大賞は、1995年にフランス人資産家が創設したもの。これまでにも著名な料理研究家などが受賞していて、宮沢さんにとっては「あこがれの賞」。昨年、思い切って応募した。
ノミネート作の著者による発表会と最終選考が、スウェーデンで行われた際、宮沢さんは、母が嫁入り道具に持たせてくれた着物で出席した。
宮沢さんが同書をまとめたのは、母が、家族のために作ってくれていた素朴な料理が、薬膳だったのだと気付いたことがきっかけ。
宮沢さんは、33歳で母と幼い娘を続けて亡くし、ショックからうつ病を患った。その後、食事で元気になろうと薬膳を学び始めたという。
同大賞で宮沢さんの本は、「日本の家庭に受け継がれている料理は、心も体も健康にする薬膳で、世界に伝えていくべきものだ」と、評価された。
なお、同書の販売は、すでに終了した。同市内の記念、多賀、十王、南部の4図書館に所蔵されている。