行方市玉造甲のすみれ花園では、チューリップの鉢植えの出荷がピークだ。それぞれ、ぷっくりと膨らんだつぼみがかわいらしい。
つぼみの状態で出荷するのは、購入者に少しでも長く花を楽しんでもらうため。「見た目はつぼみですが、私たちの頭の中には、満開の姿が浮かんでいます」とは、同農園の山下三夫さん(40)、裕加里さん(38)夫婦。
チューリップ栽培は、毎年11月中旬にスタートする。オランダから取り寄せた球根を一つ一つ丁寧に、5号鉢などに植え付ける。年が明けると、出荷が始まる。
栽培品種は35品種ほど。ボタンの花のような八重咲きの大輪「アメイジンググレイス」、葉が斑(ふ)入りで、斑の色も変化する「ハッピーアップスター」など、それぞれ個性に富む。「昔の赤いチューリップのイメージしかない人は、驚きます」と、三夫さん。
同園が育てた「フォックストロット」は先月、東京で開かれた「第72回関東東海花の展覧会」で銀賞に輝いた。花色が白から濃いピンク色に変わっていく様子が印象的なチューリップだ。
2人は、裕加里さんの父親が営んだ「高須花園」の技術を引き継ぐ形でチューリップ栽培を始めた。家業としては約50年の歴史がある。
「きれいに咲いたよ」との客からの声が何よりの励み。「うちのチューリップたちとともに、春を楽しんでもらえたら」と、裕加里さん。
チューリップの鉢植えの販売は3月中旬まで。同市観光物産館こいこいでの販売のほか、同園での直売もしている。直売は月~土曜の午前9時~午後4時。同園0299・55・2729。