水戸市南町の靴の老舗「ショスールブティックフタカワ」が、6月で閉店する。スクランブル交差点に面した立地で、海外の一流ブランド品をそろえた同店は、水戸のファッションを長年けん引してきた店の一つ。
「店も従業員も、お客さまに育てていただいた。感謝の気持ちでいっぱいです」と、同店4代目の荒川玉江さん。
同店は、1895(明治28)年に、荒川さん(旧姓・二川)の曽祖父の故・二川安太郎さんが、靴の製造販売店として開業した。荒川さんによると、同年には全国で同様の靴店がいくつか誕生したという。
荒川さんが引き継いだのは、40年ほど前。東京から戻り、イタリアなどヨーロッパを中心にしたブランド靴をそろえ、これまでの店の業態を一新してスタートした。
買い付けには海外にも出かけた。当初は実績がなく、仕入れに苦労した。バブル崩壊後だったが、「東京に行かなくても、おしゃれな靴が水戸で買える」と徐々にニーズをつかみ、年々売り上げを伸ばした。
扱うブランドは時代によって変わったが、「足に合った靴を提案する」という理念は創業以来大切にしてきたという。
近年は、時代の変化で商店街を歩く人が減り、コロナ禍が追い打ちをかけた。迷いはあるが、一区切りをつけることにした。
店の前には、感謝のメッセージを書いた看板を掲示していて、足を止めて読む人も多い。「常連客や懐かしいお客さまたちが立ち寄り、思い出話に花が咲く日も多い」と、荒川さん。
なお、同店は6月末まで、「ご愛顧感謝閉店セール」を行っている。同店☎029・221・3660(月曜定休)。