稲荷神社修理見学会に90人参加 職人の気概詰まった屋根間近に(茨城・笠間市)
本殿の周囲に組まれた足場を上がり、江見さん(右)の説明を受ける参加者ら

  屋根の大規模な修理工事が行われている笠間市の笠間稲荷神社の本殿でこのほど、市民向けの現場見学会が開かれ、2日間で90人が参加した。

 見学会は、同神社と同市教育委員会が企画したもので、昨年に続いて2回目。今回は、修理工事が終盤を迎え、屋根を間近に見られる最後の機会になることから開いた。

 参加者は、本殿の周囲に組まれた足場を、屋根が目の前に見える高さ(約6メートル)まで上がり、修理工事の設計管理を担当している文化財建造物保存技術協会技術職員の江見歩さんから説明を受けた。

 江見さんは、本殿の屋根の構造や、劣化した部分のみを修復するなどの修理の方法を丁寧に説明。本殿の屋根の魅力について、「入り母屋造り構造だが、曲線の部分があるなど、より複雑。当時の腕自慢の大工さんたちの『どうだ!』という声が聞こえて来るようです」と話した。

 参加した市内の南部煕(ひろ)子さんは、「屋根の細部にまで繊細な細工があり、職人さんたちの美意識を感じました」と、話していた。

 同本殿は1860年頃の建立で、本殿と拝殿からなる複合社殿。建物の主要部はケヤキの良材でつくられていて、随所に施された緻密な彫刻が江戸時代末期の社寺建築の特色をよく表しているという。1988年には国重要文化財に指定された。

 屋根の修理工事が始まったのは2022年9月から。ふいてある銅板が経年劣化し、雨もりが生じるようになったことから、文化庁と県、同市の補助を得て行っている。

 なお、修理工事の完成は25年3月末を予定している。

 

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