日本を代表する美術団体「二科会」の第72回写真部展(第108回二科展)がこのほど、東京・国立新美術館で開かれ、北茨城市の小野惠子さん(87)が、「会員賞」を受賞した。写真部の同賞の受賞は県内初。「頑張って撮影を続けてきてよかった」と、笑顔だ。
会員賞は、同会の「会員」の作品の中から選ばれるもので、今回は小野さんのほか3人が受賞した。小野さんは、二科会写真部会員。
出品したのは、富士山と、富士山を覆うような巨大なつるし雲を収めた作品「吊(つ)るし雲」。雲のシルエットをダイナミックに表現した。
撮影したのは2016年7月。娘夫婦と共で車で移動中に、被写体の風景に出合った。ガードレールにしがみつくような姿勢で、次々と変化していく雲の姿を撮影した。「夢中だった」と小野さん。
小野さんはカメラを趣味にして27年。中学校の体育の教員を長く勤めた後、亡き夫の栄重さんとともに、常陸大宮市の大貫亘さんが開く教室に通うなどして写真を学んだ。
富士山の撮影を本格的に始めたのは16年からで、月に1、2回通っている。「毎月、撮影に車を出してくれる家族に感謝です」と、小野さん。