アユのうまさがダイレクト 太公望お墨付きのアユの一夜干し(茨城・大子町)
見た目の美しさも一夜干しの魅力

 大子町芦野倉の定食の店「奥久慈膳所 ゆうゆう」には、町内を流れる久慈川、押川、八溝川にやってきた県内外の太公望たちが集まることが多い。
 そんな面々に好評なのが、アユの一夜干し。「やさしい味付けだから、アユのうまさがダイレクトに伝わるんだよ」と店主、益子勝男さん(68)。
 取材時にふるまってくれたのは昨年のアユ。今年のアユは、まだサイズ的に物足りないのだという。アユは1年で生涯を終える1年魚。夏が終わるころに成熟した大きさになる。
 冷凍保存用の袋のまま解凍して、10分足らず焼いて完成。頭を残して開いたアユは、美しく、店近くを流れる押川から跳ね上がってきたようにも見えた。
 益子さんはいま、1年でもっとも忙しい日々を送っている。今月から、久慈川の投網漁が解禁しているからだ。益子さんは、久慈川漁協の組合員でもあり、趣味と実益を兼ねて、押川と久慈川などに網を投げる。店を閉めた後の夜中のことだという。
 さきほどのアユも昨年、そうして水揚げしたもの。「すぐに加工するからおいしく振る舞える。久慈川のおいしさをきちんと伝えるのが、私の役割だと思っている」と益子さん。

 

アユの一夜干し

 

 〈材料〉 アユ(釣り人から譲り受けるなどした新鮮な物がおすすめ=左写真
 〈作り方〉 
 ①アユを開いて、はらわたを洗い流す。頭を残したまま開くと美しいが、頭を落とした方が楽
 ②塩を3%の濃度で溶かした水に、アユを30分間つける
 ③冷蔵庫の中で一晩寝かせる。ひもなどでつるのが一番だが、大皿の上に網を置いて、その上に寝かせてもいい
 ④保存するのであれば、冷凍保存用袋に入れて凍らせる。「塩に漬けてあると火の通りが早いから注意を」と益子さん。

水揚げしたアユの写真

水揚げしたアユ

 

益子さんはどんな人?

自分で捕獲したスッポンを持つ益子さんの写真

自分で捕獲したスッポンを持つ益子さん

 

 益子さんは、料理人や、漁協の組合員になるずっと前から、奥久慈の川の幸に接してきた。 
 最初の一歩は、物心つくと同時に始めたフナ釣り。「昔はバケツ一杯分くらい簡単に釣れたんだよ」。やがてウナギの釣り方も覚えた。小学校低学年のころには、釣り上げたウナギを自分でさばいて家族や友人に振る舞っていた。
 さばく際は、大工道具のキリを刺して固定していたという。「たれは、しょうゆと砂糖をブレンドして、それらしく仕上げていた」と振り返る。天然ウナギの料理は、今も店の看板の1つ。
 宴会メニューには、スッポンやモクズガニ料理が含まれることがある。それぞれ、久慈川などで自分で捕獲したものだ。「川に入ると、あっという間に童心に戻っちゃうよ」と益子さん。
 「奥久慈膳所 ゆうゆう」 営業時間=午前11時半~午後8時 住所=大子町芦野倉171の1 定休日=火曜 ℡0295・79・2022。

 

 

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