指折りの“ナマズ商” 霞ヶ浦産を養殖、出荷する「なまず屋」
出荷前のナマズを持つ野原さん

 行方市手賀のなまず屋の業務は、屋号の通りナマズの販売。岐阜県と埼玉県を中心に、全国に向けた出荷量は年間30㌧。「確かな統計はないが、ナマズに限定すれば全国一か、少なくとも有数の出荷量になる」とは、代表の野原吉伸さん(46)。

 取り扱うナマズは、北米原産のアメリカナマズ。アメリカでは、食用の魚として広く知られていて、体長は1㍍を超えるものもある。1980年代以降、霞ヶ浦は、国内有数の繁殖地になっていて、釣りの対象魚としても注目されている。

 なまず屋では、霞ヶ浦に設置したわなでナマズを捕獲し、霞ヶ浦内のいけすで体長60~70㌢になるまで養殖する。出荷前の数週間は、湧き水をためた池で泥抜きをするため、食べてもほとんど臭みはないという。「本当に臭みがないのですが、なかなか信じてもらえない。天ぷらやから揚げにすると最高です」と野原さん。

 また、刺し身は、高級料理のフグ刺しのようだと表現されることが多い。野原さんには、刺し身に関して、ユニークなエピソードがある。

 野原さんは、子どものころからナマズの刺し身に親しんでいたが、フグの刺し身は大人になって、消防団の研修で大阪に出掛けるまで食べたことはなかった。「白っぽい刺し身を、何の魚か確認せずに食べてみて、『ナマズだ』と思っていたら、フグだった」と笑う。

 岐阜県と埼玉県への出荷量が多いのは、両県にナマズを食べる食文化が伝わっているからだという。野原さんは、「茨城の人は、地元でこんなにおいしいものがとれているのに、ほとんどを県外にゆずってしまっていて、もったいないと思う」という。

 なまず屋は、ナマズの味を広めようと、ナマズの加工品開発にも取り組み、同市玉造甲の市観光物産館「こいこい」などに出荷している。

 なまず屋では店頭販売もしている。刺し身に下ろして販売することもできる。加工賃別。

 なまず屋☎︎0299・55・1691。

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