世界各国から映画約150作品が寄せられた「ジャパンワールド映画祭・芸術祭 常陸大宮市」の入賞作品上映会が9月30日と10月1日、常陸大宮市高部の美和地域センター別館(旧美和工芸ふれあいセンター)で開かれる。上映されるのは、13の国と地域から寄せられた21作品。すべて字幕付きの上演だ。
映画上映の間などには、関連の催しも行われる。主なものは、同市内の小瀬高校生が生け花の技を競う競技会「花いけバトル」、鷲子(とりのこ)お囃子(はやし)保存会のメンバーによる「鷲子囃子」の演奏、トランペット演奏、箸作り体験などの体験会。
主催の同映画祭実行委員会の中心は、同市小玉の映像ディレクター速水(はやみず)雄輔さん(42)と祈履(いのり)さん(40)夫婦。2人は、同市に住まいを構えて約3年。東京との2拠点生活を続けている。
雄輔さんは、オーストラリアで映像制作を学んだ後、同国のテレビ局などでの勤務を経た。帰国後は主に東京で、映画のほか、テレビの報道やバラエティー番組、コマーシャル、音楽ビデオなどの制作に携わった。
また、映像などの制作者たちの地位を守るためにユニオン(労働組合)を立ち上げたり、ユニオンの活動としてミニシアターをつくったりもした。
同市に拠点を構えたのは、「商業主義に走りがちな、東京中心の制作活動と一定の距離を持ちたくなったから」と雄輔さん。仕事は、変化なく続けていて、「打ち合わせはオンラインでできる。撮影などの現場仕事は、東京よりむしろ地方で行うことが多い」。
映画祭の開催は4回目。初回は東京のミニシアターで行い、2回目から同市で開催した。
同市での開催を決めた際は、同市の地域性と、国際映画祭のイメージのギャップに驚かれることもあったが、開催してみれば満足できる反響があった。
雄輔さんは、「国際映画祭は、世界の多様性を知る機会でもある。常陸大宮にも世界に誇るべき個性がある。当初から違和感はなかった」と話す。常陸大宮の個性を発信することも、映画祭の目的の一つにしている。
映画祭の応募作品は、雄輔さんが所属する映画制作者たちの国際的なネットワークを通して募った。入賞の選考基準は、「新たな視点を教えてくれるような作品。『こんなテーマを、よく映画にしたな』と感心させられるもの」だった。
同市を舞台して、雄輔さんがメガホンをとった映画作品も上映する。また、入賞作の一つのアメリカ人監督が、舞台あいさつのために来場する。
入場無料。時間は午前11時~午後6時。上映中の出入りは自由。同実行委員会☎070・8392・3119。