笠間市の滝野信幸さん(72)は先月、滝野信也というペンネームでシリーズ小説「物言う花」の1~4巻を東洋出版から出した。今回がデビュー作で、来春までに全13巻が出る予定という。
約3年がかりで原稿用紙4500枚ほどの物語を書き上げた。「書くのが楽しい。これからも書き続けたい」と意欲的だ。
同著は、人生と向き合いながら強く生きる女性たちの物語。1巻ごとに、「伝説の美女」「絶世の美人」「八頭身美人」「看板娘」「伊達者」などの副題がついている。
滝野さんは、水戸市の県立水戸商業高校卒業。高校時代はサッカー部に所属し、同部初となる全国大会に出場し、ベスト8に進出するなど活躍した。卒業後は、家業を継いだが、結婚への反対から両親に勘当され、以来、50歳で実家に戻るまで、牛乳販売や事務員、板前など16もの職業を経験したという。
「苦労の連続だったけれど、それがすべて小説の材料になっているんです」と滝野さん。
小説を書き始めたのは68歳から。体に電流が走ったような衝撃を感じると、体の中から物語がわいてきたという。40代の時、小説を書いて東京の出版社に持ち込んだ経験があるが、「昔は苦しみながら書いたのに、今は、登場人物が勝手に会話してくれて、それを書いているという、不思議な感覚なんです」
原稿はパソコンを使わずに手書きで、言葉は辞書で調べながら書く。愛用の辞書は、ほとんどのページに赤線が引いてあり、繰り返し開いているため擦り切れている。「辞書で引くと、目的の言葉に近い言葉にも出合える。言葉を学ぶのも楽しいです」
同書は1冊600円(税別)。全国の書店のほか、インターネットサイト「アマゾン」などで販売。
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