
サッカーJ2水戸ホーリーホックが、かつてないほどに好調だ。8月3日の第24節を終えた時点で、リーグ1位。2位とのポイント(勝点)差は6。1位を保っている期間は1か月半におよび、これまでのチームの歴史にはなかったことだ。
リーグの残りの試合数は14。2位までで終えれば、J1への自動昇格が確定。6位以内でも、昇格をかけたプレーオフに参加できる。
昨年までの5シーズンで、24節の時点で1位だったチームは、100㌫の割合で2位以上に入っている。プレーオフ進出でも昇格の可能性を残すことを含めれば、水戸ホーリーホックが来シーズン、J1の舞台に立つ可能性は、100㌫以上という試算が可能だ。
そのことを同チームの社長、小島耕さん(51)に投げかけると、「まだ先は長い。目の前の1試合に全力を尽くすだけ」と話した。
小島さんが慎重な姿勢を崩さないのは、Jリーグの厳しさを知っているから。「サッカーは、最も番狂わせが起きやすいスポーツ」は、小島さんの持論。
昨シーズンの8月、番狂わせから、未来を切り開いたのは、同チームだった。その頃は、“降格”争いの最中にいた。ここで奮起しないと本当にまずいといわれて迎えたのが後半戦の初戦。相手は、当時リーグ首位の長崎だった。
水戸は、移籍したばかりの選手のゴールが決勝点となり、2対1で勝利。その後のリーグ展開に、大きな弾みを付けた。
1年を経て、まったく逆の立場にいる理由について小島さんは、「積み重ねてきたものがかみ合ってきたのだと思う。論理的に説明できないけれど、それがスポーツの面白み」と話す。
かつてない現状は、チームに関わるすべての人たちの気持ちを刺激している。
「『J1』や、『昇格』という言葉が、現実味を帯びて飛び交い、その回数は、どんどん増えている」と小島さん。そのことへの思いを問うと、「うれしいし、誇りに思うけど、戸惑いもある。そして、胃は、痛い」と笑った。
胃の痛みは、サポーターや地域の期待の高まりを強く感じて、すべてを受け止めているせい。
「信じられないほどに幸せなことなんだけど、試合日が近づくと眠れなくなるんだ」と小島さん。
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次戦は8月10日の山形戦(アウェー)。次は、8月16日の磐田戦(ホーム)。小島さんは、「選手の何よりの力になるのはスタンドからの声援」と力を込める。
入場券の問い合わせは、同チーム☎0296・88・3900。