茨城町上石崎の杉本洋一さん(81)の“愛車”は、20年前ほどに趣味で手作りしたミニ蒸気機関車(SL)。杉本さんは、県外の3つの鉄道クラブに所属していて、定例会やイベントなどで、毎月のように走らせている。
杉本さんのミニSLのモデルは、1929年に製造された「C50 75」というSL。本物の約10分の1サイズで、構造もほぼ同じ。本物同様、石炭を燃料に、白煙を上げながら走る。客車を付けることも可能で、平坦な場所の線路なら大人が複数人乗っても楽に走る。
知り合いから購入したミニSLの制作用キットを完成させたもの。ただし、製作用キットは、購入した時点で、かなりの年代物。図面がなく、ない部品もあった。「そのせいで、鍛えられました」と、杉本さん。
ない部品は、自分で作った。作り方が書かれた本や資料を見つけては読み、本物のSLを何度も見に行くなどした。完成までに、約8年を費やした。
杉本さんの本業は技術者。大学の工学部を卒業後、8ミリ映写機を製造する会社や、カメラの部品を作る工場で働き、独立して製作所を開いた。日々仕事に忙しく、趣味の時間は持てなかったが、ふと、制作意欲が沸いてきた。杉本さんは、小学生時代からの鉄道模型作りの趣味があった。ミニSL作りを始めたのは42歳のときだった。
元技術者の腕は、ミニSL仲間の間でも知られていて、修理を頼まれることもある。
「走らせるのも直すのも、どっちも楽しい。これからも楽しみます」と、杉本さん。