
日立市水木町の旅館「ひたち湯海の宿 はぎ屋」の展望大浴場は、太平洋を見渡す。湯船と海がつながっているようにも感じられる配置だが、湯が、琥珀(こはく)色に染まっていることが境界をつくる。
「このお湯は、よく温まって、湯冷めしにくい。肌はつるつるしますよ」とは、同旅館代表の萩庭晴秀さん(75)。
琥珀色の源は、地元・水木海岸でとれる海藻「カジメ」だ。カジメを湯に浮かべる入浴法は「かじめ湯」と呼ばれ、本県と近県の海岸沿いの文化としての記録がある。
同旅館がかじめ湯のサービスを始めたのは40年ほど前。4代目の支配人になって間もない萩庭さんが発起人だった。
萩庭さんによれば、同市の沿岸部には独自の風呂文化があったという。海岸の潮だまりに熱した石を入れて風呂にしたり、海水を沸かす潮湯や、かじめ湯は、家々で日常的に楽しんでいた。
旅館と地域の発展を夢見て支配人になった萩庭さんは、「これを使わない手はない」と考えた。かじめ湯の沸かし方を効率化して、周辺の旅館、民宿でも提供してもらうまでにこぎ着けた。
年月を経て、かじめ湯を提供するのが同旅館だけになったのは、海岸の状況が変化したため。「かじめ湯は、好評です」と萩庭さん。その魅力を広めて、旅館と地域の発展につなげたいという萩庭さんの気持ちは、まだまだ“熱く”、「風呂上がりのお客さんと話し込んでしまうこともある」と笑う。
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日帰り入浴もできる。時間は午前11時半~午後3時(最終受付は同2時)。水曜休み。臨時休業の場合あり。休憩所はない。料金大人1000円、1歳~小学生750円。同旅館☎0294・52・2522。






