
北茨城市華川町小豆畑(あずはた)の畑で、市特産品の自然薯(じねんじょ)の収穫が始まっている。市内の栽培グループ「北茨城自然薯研究会」会長の山縣繁一さん(77)は、来年3月頃までに約5万本を収穫予定。「今年もよく育ってくれた」と、満足顔だ。
同会の栽培方法は、「北茨城方式」と呼ばれる。山縣さんが考案したもので全国に知られる。
特徴は、自然薯を畑の中で斜め向きに育てること。天然ものの自然薯は、地中で下向きに伸びるため、1本を収穫するにも時間がかかるが、この方式なら数秒だ。種芋の選定や、土づくりにも工夫がある。収穫する自然薯は、「粘りもコクも、天然ものと遜色ない」と山縣さんは胸を張る。
北茨城方式の原点は、JA職員だった頃、山口県で自然薯の人工栽培が行われていることを知ったことだ。当時北茨城市では、高齢化から田畑をあきらめる人たちが増えていた。休耕畑などを使って手軽に栽培ができたら、地域の活気も戻るのではと考えた。
同県で行われていた栽培方法を学び、本気で取り組もうとJAを退職。よりよい栽培方法を模索し、約10年かけて同会独自の方法を確立した。
2002年に、同会の栽培の様子がテレビ番組で紹介されると、全国から「栽培方法を教えてほしい」と電話や手紙が寄せられた。同会では、講習会を開催するなどして対応。現在、技術や情報を提供する「準会員」は全国に700人ほどいる。
同会の地元会員は約20人で、最高齢は89歳の夫婦。「先輩が頑張っている。私ももっとおいしい自然薯を育てたい」と、山縣さん。自然薯の問い合わせは、同会☎090・9107・0263。






