鹿嶋市の作家、谷口純さんが、約20年ぶりの新作戯曲「維新の恋と嵐」(四六判139㌻、星雲社刊、1100円)をまとめた。幕末維新を長州藩のリーダーとして駆け抜けた木戸孝允(たかよし)を主人公に、ミュージカルに仕上げた。
歴史資料にあたるうちに、日本の近代化における木戸の功績をあらためて知ったという谷口さん。「もっと注目されていい人物。広く楽しんでもらえたら」
同著では、木戸と、薩摩藩のリーダー大久保利通による知られざる政治攻防を明らかにした。西郷隆盛、伊藤博文らも登場、新時代の礎を築こうとする人々を、臨場感たっぷりに活写。木戸の恋の話も盛り込んだ。
小説ではなく、ミュージカルの戯曲という形式にしたのは、「日本の歴史の面白さを、世界の人々にも伝えたい」との思いから。
谷口さんは、東京出身で、翻訳業のかたわら歴史小説を執筆。「きずな 信長と秀吉」でコスモス文学新人賞、「わかれ 半兵衛と秀吉」でコスモス文学出版文化賞を受賞。「わかれ」は絶版後、ネット上で復刊運動が起こり、2014年、「竹中半兵衛小説集」(作品社刊)に収録された。
英国留学時にミュージカルに魅せられ、帰国後に俳優養成所で学び、劇団で戯曲を書いた経験を持つ。
一昨年に血液の病気を発症し、現在は闘病しながら、同著の英語の翻訳に取り組んでいる。「目標は、ロンドン公演の実現。外国人にも読んでいただき、舞台化の可能性を探りたい」と谷口さん。同著は、インターネットサイト「アマゾン」などで販売。