
戦国時代の画僧で、常陸国(ひたちのくに)生まれの雪村周継(せっそん・しゅうけい)の作品の魅力に迫る特別展「雪村−常陸に生まれし遊歴の画僧−」が、水戸市緑町の県立歴史館で開かれている。水墨画を中心に、初公開作品を含む約110件を展示している。4月6日まで。
雪村は、戦国大名の佐竹氏の一族として、現在の常陸大宮市の部垂(へたれ)で生まれたとされる。幼くして出家し、太田(現在の常陸太田市)の正宗寺などで画業を修練した。その後は、会津や小田原、鎌倉を訪れて画才を磨き、晩年は会津や三春を往来しながら多くの傑作を生み出した。
大胆でユニークな構図、自由で伸びやかな作風は、後世に影響を与え、岡倉天心らによって、雪舟と並ぶ水墨画家と称揚された。
「大胆さ、奇抜さだけでなく、幅広い技術による多彩な表現力も雪村作品の魅力」と、同館学芸員の蔀(しどみ)政人さん(31)。
展示では、雪村の真骨頂の大胆な筆致が用いられた人物画のほか、墨の濃淡や優れた筆線で描き出した花鳥図など、初期から晩年までの作品が楽しめる。
3月22日午後2時からは、講演会「雪村 『絵画の時代』に生きた人」が開かれる。講師は、海の見える杜美術館館長で、成城大名誉教授の相澤正彦さん。定員150人。当日午前11時から先着で整理券を配布する。
入館料一般690円、70歳以上350円。月曜休館(祝日の場合は開館し、翌日休館)。同館☎029・225・4425。