北茨城市出身の日本画家、飛田周山(ひだ・しゅうざん)の画業や功績について知ってもらおうと、同市内のグループ「北茨城の文化を考える会」(会員8人)がこのほど、本「日本画家 飛田周山 その画業と岡倉天心・野口勝一 五浦への道」を刊行した。
飛田周山(1877~1945年)は、五浦の日本美術院研究所で横山大観らとともに絵画研究に励み、数々の賞を受賞するなど活躍した。また、岡倉天心を北茨城の地に誘い、天心のために五浦の土地の購入に奔走し、その後も支援した。
「周山の案内がなかったら、天心は五浦の地を知ることもなく、この地で新しい日本画の創造を成し得ることもなかった」とは、同会代表の松崎道子さん。ただ、その活躍に見合うほどの理解が地元で進んでいないことから、同会では同書をまとめたという。
同書は、周山について、天心や、野口雨情の伯父で、天心の五浦転居に尽力した野口勝一との関連から読み解いた論文などで構成した。「本を通して、周山にふれてもらえたら」と、松崎さん。同会は、県天心記念五浦美術館に、周山のコーナーを設置することを目的にしている。
同書は、県内の図書館に寄贈したほか、水戸市の川又書店県庁店・エクセル店、高萩市の田所書店、北茨城市のヤマサンなどで販売している。1冊1800円。