高萩市中戸川の花貫渓谷の紅葉の一番の見所といえば、汐見滝吊(つ)り橋周辺だ。国道461号から近い駐車場(有料)からは徒歩。約800mの坂道を上って到着する。
高萩ふるさと案内人の会の会長、石平光さん(84)は、「『紅葉は逃げませんから』と案内しています。みんな期待が大きいから、坂道を急いでしまって、到着するころにはくたくたに」と笑った。
条件に恵まれた年の盛期には、坂の半ばから、モミジを中心にした紅葉が目立ちはじめる。つり橋に立つと、四方を紅に囲まれる。
訪ねる時間帯でも、見応えが変わってくるという。同渓谷が、深いV字型の形状で、東に向かって降りているから。ベストの時間は午前中。太陽の光がV字の奥まで届き、紅葉と、常緑の葉を含めた多彩な自然を浮かび上げる。
石さんは、「渓谷を構成する岩石にも目を向けてほしい」と付け足した。そこには、悠久の歴史が刻まれていると力を込めた。