桃の節句を控え、JA常陸奥久慈枝物部会(菊池正男部会長)の所有する促成施設(常陸大宮市小野)では、ハナモモの出荷が始まっている。
ハナモモは、バラ目バラ科モモ属の耐寒性落葉低木。観賞用に改良されたモモで、ひなまつり用の飾りとして人気がある。高さ60~80㌢に切りそろえて出荷される。同会が栽培している品種は、「早戸川」「乙女川」「ピンク」など5種類。
「つぼみから開花までの様子も楽しんでほしいから、購入者の手元に届いて、2、3日で開花するように開花を調整しています」と、会長の石川幸太郎さん(73)。施設では、ふっくらとしたつぼみをつけた枝たちが丁寧に箱詰めされ、各地へと旅立っている。
開花を調整するのは、“職人技”だ。まずは暖めた部屋で開花を進めて、その後常温に戻して出荷する。常温に戻すタイミングを見極めるのは経験が命。1日に何度も花の様子を見に来るなどして、調整するという。
部会のメンバーの1人、塩沢浩行さん(65)は、開花したら枝を近所におすそわけするのが恒例。娘や孫たちが手伝いに来てくれて、畑が華やぐのも栽培の楽しみの一つだ。「今年もかわいい花を咲かせてくれそう。満開の枝で、春を感じてもらえたら」