みんなを思う音楽人生の節目 4月に水戸市民会館で音楽フェスを主催する藤さん(茨城・水戸市)
自宅でギターを持つ藤さん。フェスでは、バンド形式の演奏となり、ダンスチームとのコラボもあるなど多彩な内容となる

 水戸市泉町の市民会館で4月13日午前9時半に開かれる音楽フェスイベント「フジテリア・パーク」は、若者も年配者も、障害のある人たちも、みんなで一緒に楽しもうというのがコンセプト。主催者で出演アーティストの藤良多さん(39、笠間市)は、介護福祉士でもある。

 出演アーティストはほかに、ヒット曲ハナミズキの作曲者のマシコタツロウさん、福島清香さん、geru(ゲル)さんなど10組。イベントの最後に同館のグロービスホールで行う藤さんのステージのみ入場料1000円(大学生以下、65歳以上、障害者は無料)。ほかのステージは同館の出入り自由のスペースで行われる。藤さんのステージの入場料は全額、災害被災地の支援金として寄付する。

 藤さんのステージには、藤さんが介護福祉士として交流のある高齢者や、障害がある人も参加する。

 同イベントは、藤さんにとって、“第二の音楽人生”の節目を飾るものだという。これまで音楽を続けてこられたことへの感謝も込める。

 第一の音楽人生に当たるのは、10~20代前半まで。当時の藤さんは、パンクバンドのリードボーカル。原動力は、自分たちの中からわき上がる情熱だった。

 転機は、東日本大震災。所属していたバンドの解散時期とも重なった。

 時間をもてあました藤さんは、被災地に向かった。そこで、支援作業に励んでいると、新鮮な感情が芽生えた。「だれかのために活動することや、それをよろこんでもらうことの充実感は、こんなに大きなものなのか」

 思いが高ぶり、被災地から戻った藤さんは、福祉の道へ進む勉強を始めた。

 第二の音楽人生の始まりは、介護福祉士の仕事に慣れてきたころ。何度顔を合わせても、顔も名前も覚えてくれない認知症の利用者と向き合っているときのこと。ギターを持ち出して童謡の「ふるさと」を歌うと一転、「ギターのお兄ちゃん」と呼んでくれるようになった。

 30歳で、ステージに戻った。演奏は、ギターの弾き語りスタイルに変えた。気持ちも少し変わった。「お客さんや、そのステージをつくってくれた人の気持ちに寄り添うことが、何より優先」と藤さん。今年で、その日から10年になる。

 

 グロービスホールの収容人数は2000人。主催者に求められる経費は、普通の感覚のアマチュアアーティストにまかなえるものではない。

 「驚かれることも多いけど、どうしてもやりたいんです。向こう見ずさは、パンクバンド時代のままかも」と藤さん。

 藤さんは、イベントのボランティアスタッフを募集している。希望者は、藤さんにメール(fujiryota1005@gmail.com)で。入場券の予約もメールで。

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