
バレンタインとホワイトデーという菓子の2大イベントを経た水戸市泉町のチョコレート専門店「ショコラトリー ダルメゾン」を訪ねた。チョコレート専門店は県内でも珍しく、2大イベントでは大きなにぎわいが話題になった。
オーナーシェフの達聖(だる・さとし)さん(35)は、少しほっとした表情を浮かべつつも、定休日も店に出て作業をしていた。「茨城にチョコレート文化を定着させたいんです。やるべきことはいっぱいあります」
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同店の看板チョコレートは、ベルギースタイルの「ボンボンショコラ」。中にチョコレートガナッシュやジャムを詰めたひと口サイズ品だ。
達さんが作るボンボンショコラには、大きく2つの特徴がある。1つは、県産の素材を使っていること。大子町の奥久慈茶、高萩市の食用花、鉾田市のイチゴも使っている。
もう1つは、チョコレート層の薄さ。層は薄さわずか1・2㍉。この薄さが味とつやの良さにもつながっている。
達さんのボンボンショコラに対する評価は、地元より関西の方が高い。バレンタインシーズンの売り上げも、関西の方が地元より上回ったほど。
達さんによれば、関西はチョコレート愛が全国でも高い地域だという。全国ブランドの洋菓子メーカーが多く、神戸は日本のバレンタイン発祥の地ともされる。達さんは「チョコレート文化と呼べるようなものがある」と話す。
毎年出荷しているのは大阪の阪急百貨店。全国の名だたる専門店が集まるイベントに参加していて、特にボンボンショコラ部門では高い評価を得ている。
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同店は菓子店を開いて6年。そして、チョコレート専門店となって3年だ。
達さんは母親譲りだという根っからのチョコレート好き。開店当初から、チョコレート専門店にしたいという気持ちはあったが、常識外れにも受け取れる挑戦はためらわれた。3年前に背中を押したのは、関西で感じたチョコレート文化の可能性だった。
今、取り組んでいるのが、近隣の店舗とのコラボだ。17日に予定されているのは、ワイン店「ワインデマミ」を会場にしたチョコレートとワインを楽しむ会。コーヒー店主とのプロジェクトも計画中だ。「みんなと協力して、盛り上がっていきたい」
同店☎029・232・3838(月、火曜定休、不定休あり)。