弦楽器・コントラバスのアマチュア奏者で、2級建築士の水戸市の大森恵子さん(46)は、コントラバス奏者が演奏時に座るいすを開発中。試作品の反応は上々で、「世界の奏者の応援になったら幸せ」と大森さん。商品化を目指して、「クラウドファンディング」で資金の支援を募る予定もある。
開発に至った裏側には、出産で関節を痛めて、演奏に不都合が出てきたことと、それでもコントラバスへの情熱が、失われなかったことがある。
いすは、座面に突起部分を加えたのが特徴。コントラバスは大きくて重いため、支えながら演奏することが、体に負担になることもある。大森さんが開発中のいすを使えば、体の代わりに、座面の突起で楽器を支えることができる。「楽器を支えるストレスから解放され、演奏により集中でき、楽しめるようになるはず」と、大森さん。
大森さんは、高校の吹奏楽部でコントラバスを始め、市民オーケストラ「茨城交響楽団」で演奏していたが、出産後はあきらめていた。その間に体のメンテナンスを学び、ママさんブラスバンドに参加、市民オーケストラにも復帰したが、コロナ禍で練習がなくなった。本業の建築士の仕事も減り、「やり場のない日々をすごした」。
ある日、演奏用の古いいすが目に付いた。凹んだクッションを直そうと分解していた時に、ひらめいた。座面は建築士の仕事で使う設計用システム「CAD」を使って設計し、市販のスツールに取り付けた。
商品化を目指すことにしたのは、「同じような悩みを持つ演奏仲間の役に立てたら」という思いから。楽器仲間のアドバイスもあり、特許庁に実用新案登録を行った。
クラウドファンディングは、「キャンプファイヤー」のサイトで、まもなく公開予定。