新年に「福」呼ぶ甘露煮づくりピーク   小田喜(おだぎ)商店(茨城・笠間市)
手際よく栗を瓶詰めしていく女性たち

 今年も師走 ─ 。栗の一大産地の笠間市で、甘露煮づくりが最盛期を迎えている。同市吉岡の小田喜商店では、栗を大釜で炊いて砂糖蜜に浸したものを、瓶詰めする作業が進む。盛期は年末まで。

 栗の甘露煮は、黄金色の見た目から福を呼ぶとして、おせち料理の定番だ。

 同社は、栗の加工などをして60年以上。栗の甘露煮のほかにも、栗のペースト、焼き栗、スイーツなどを手がける。

 つやつやと輝く栗を前にして、手際よく作業を進めていたのは、多くがキャリア数十年という女性たち。

 生天目千代子さん(74)は、キャリア40年以上だ。白衣を着込み、足元に小さな台を置くのは、コンクリートの床から伝わる冷えを抑えるためだという。「ここの甘露煮はおいしいからね。私たちの誇り。親戚たちにも送っているよ」と、楽しげに手を動かした。

 甘露煮を含めた同社の製品は、全国から注文が入る。その品質を保つ大きな力になっているのが、3つの役割を担う人たちの技術と努力だ。3つの役割とは、生天目さんら製造担当者と、栗の生産者、あと、「むき子さん」と呼ばれる人たちがいる。

 むき子さんとは、栗を手むきする技術を持った人たちのこと。高齢化から、全国で数が減っていて、同市では、養成講座を開いて担い手を育てている。

 同社社長の石田啓一さん(47)は、むき方を紹介した動画を作成し、ユーチューブで公開した。「きれいに手むきされた栗は、おいしさも一味違う。産地の文化も守りたい」と、石田さん。

 栗の甘露煮は、栗260㌘入り2400円、同630㌘入り4500円(店頭販売価格)。通信販売も行っている。同店☎0299・45・2638。

 

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