愛こもるブラジルコロッケ  国際カップルが営むカフェ「カップ・オブ・ジョー」(鉾田)
仲睦まじいマリニオ・フェルナンドさんと絵里佳さん

 鉾田市安房にあるカフェ「カップ・オブ・ジョー」は、鉾田市役所まで車で5分足らずの商業地にある。店の立地は「ぽつんと」離れた場所ではないが、店の看板メニューのブラジルコロッケは、周辺を広く見渡しても提供しているところは見つからない。

 店を切り盛りするのは、ブラジル出身のマリニオ・フェルナンドさん(45)と、鉾田市出身の絵里佳さん(39)夫婦。2人の出会いは、11年前。場所は東京駅。フェルナンドさんは当時、来日して9年ほど。埼玉県に住み、日系企業に勤めていた。電車の乗り場がわからず、誰に聞こうかと見渡したとき、絵里佳さんがいた。

 絵里佳さんは、アメリカで勤めていた会社を退職し、帰国して数か月の頃だった。フェルナンドさんが日本語で話しかけると、絵里佳さんは英語で返した。「英語で話ができるなんて久しぶりで、本当にうれしくて」と、2人。意気投合してカフェで話したことをきっかけに、翌年に結婚。店はその3年後に開いた。

 店のメニューは当初、ブラジル産の豆を使ったコーヒーをメインに、ブラジルらしいものをそろえたが、現在は客の声も受けて、パスタやワッフル、ケーキなどもそろえる。

 ブラジルコロッケは、当初からのメニュー。安定した人気があり、80代の男性のファンもいる。本当の名前は「コシーニャ」。同国の家庭料理の定番で、鶏肉のほぐし身をジャガイモの生地で包んで揚げている。形はかわいらしいしずく形。単品のほか、同じく同国の家庭料理「ポンジケージョ」(チーズ味のパン)を揚げたものなど、4つのフライがセットになった「ブラジルフライセット」(600円)で食べられる。

 店は、2人の愛の結晶といえる。それぞれに会社勤めを辞めて、店を開いたのは、「一緒に過ごせる時間を増やしたかったから」。

 今は、2人の息子も“愛の輪”に加わっている。息子たちは、小学校から帰ると、店のテーブルで宿題をこなす。客が来ない日は、店を閉めて子どもと公園に行ってしまうこともある。

 フェルナンドさんの愛は、絶えることなくふるさとへも向かっている。母親には毎日電話をかける。2年前には、店を約3か月休んで一家で里帰りした。

 店内での2人の会話は、英語と日本語が交じり合い、そこがどこなのかわからなくなる感覚。「これが私たちの自然体。幸せです」と、絵里佳さん。

 

 【店情報】鉾田市安房1407の18☎0291・44・1049。午前9時~午後6時半営業(土曜は午後5時ラストオーダー)。月曜と、隔週火曜定休。店のインスタグラムがある。

 

 

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