東日本大震災をテーマに独創的な絵画を制作する日立市の画家川井雅樹さん(73)が、3月11日から同市内で開かれるグループ展に参加する。「大震災から得た教訓を忘れないで」との思いを込めた新作4点などを展示する。
グループ展は、「新世紀美術協会茨城支部展」。同市幸町の日立シビックセンターで同17日まで開かれる。
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川井さんが大震災をテーマにしたのは、大震災発生の翌月に、東京で開いた作品展がきっかけ。「私が被災地の日立市の人間であるということを理由に関心を持ってくれる人が多くいた。絵で復興を応援することもできるのではないかと考えた」と川井さん。
以来、福島を中心に、取材に出かけた回数は130回に上る。
制作する作品は、被災地で見た風景の中に、大震災とは無関係にも思える動物や、銅像が登場したりする。共通するのはメッセージを込めていること。今回の展示作の1つ、「無人の街(帰還困難区域)」は、人がいない同区域に、銅像だけが並んでいる様子を描き、故郷に戻れない人たちの無念を込めた。
メッセージのもとは、取材で出会った人々から聞いた思い。「震災から日が経つごとに、災害を忘れないでほしいとの思いを感じる。作品を通して伝えたい」と、川井さん。
関連する個展は日立市で4回、東京で2回開催した。22年に日立市で予定した個展はコロナ禍で中止した。今回発表する新作は、22年に発表する予定だったもの。
午前10時~午後5時(11日は午後1時から、17日は同4時まで)。入場無料。