硯に小さな大発見 日立につながる化石(茨城・東海村)
「石はいろいろなことを教えてくれます」と、中泉さん

 「この硯(すずり)の中に、小さな大発見がありました」とは、東海村生涯学習課学芸員の中泉雄太さん(37)。
 中泉さんが持つ硯は、村内にある村松白根遺跡から出土した約600年前のもの。出土したのは20年ほど前だが、このほど再検討したところ、硯の裏側に、「コケムシ」という小さな動物の化石が含まれていることがわかった。
 これまで、石の産地は不明だったが、その結果、硯に使われている石が、日立市の多賀山地の粘板岩(ねんばんがん)であることがわかった。コケムシの化石を含む粘板岩は、多賀山地の鮎川層に限られるという。中世以降の硯石やその流通を考える上で、重要な資料になるという。
 同村村松にある同村歴史と未来の交流館では、この硯などを展示するコーナーを3月16日まで設けている。
 展示コーナーには、同硯のほかに、県内の硯石の産地として有名な八溝山地の粘板岩の硯や、コケムシについての紹介パネルなどがある。
 「身近にあるものも、よくみると大発見がひそんでいることもある。そんなワクワクも感じてもらえたらうれしい」と、中泉さん。
 月曜休館。同館☎029・287・0851。

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