
水戸市三湯(みゆ)町にある「内原鉱泉 湯泉荘」は、昭和初期の創業とされる木造2階建ての旅館。日帰りでも利用できる風呂は、大広間と広い庭に挟まれた長い廊下の先。昭和にタイムスリップした気分で歩みを進める。
お湯の温度は、熱めの43度。鉱泉の効果も加わって、よく温まる。「風呂の後は真冬でもTシャツ1枚で帰りたい」とは、同館スタッフ。
旅館を守るのは、女将の石川よう子さん一家。実は、創業家ではない。50年ほど前、亡父がこの旅館を購入したのが始まり。
「人生ってわかりませんね」というよう子さんは当初、継ぐつもりはなかった。父が病を患ったこともあり、「あれよあれよという間に女将になった」。
2人の息子が加わったのは東日本大震災がきっかけ。異業種からの転身だった。現在、長男の博一さん(43)は姉妹店のホテルを担当し、二男の陽己(はるき)さん(41)が湯泉荘の若旦那を務める。
陽己さんは、「今思えば、私も兄も、いつかは継ぐと決めていた」と話す。子どもの頃から兄弟仲は良いが、「何でも話すという風ではなかった」。絆を強めたのが、湯泉荘の湯だった。
2人は、しょっちゅう一緒につかり、窓の先を眺めながら心を通わせた。それは今も変わらず、兄の息子たちが一緒のことも珍しくない。
日帰り入浴料大人600円。午前11時~最終受付は午後8時半。不定休の営業ため、事前に電話連絡を。同旅館☎029・259・2020。
〈メモ〉陽己さんと兄の博一さんは、県内の旅館・ホテルの後継者や支配人で結成した昭和歌謡ユニット「いばらき若旦那」のメンバーとしても活躍中だ。






