本県全域が晴天に恵まれた1月中旬の朝、行方市麻生の麻生藩家老屋敷は、女性たちの笑い声に包まれていた。
女性たちは、段飾りのひな人形と、つるしびなの飾り付け作業に取り組んでいた。2月1日から、同屋敷を含む陣屋通りと周辺の8施設を会場に開かれるイベント「陣屋通りのひな祭り」の準備だ。
同イベントの開催は初めて。8つの施設ではひな飾りの展示のほか、雑貨の販売、つるしびなづくりの体験教室などが行われる。
準備作業に参加した女性たちは、全員が、純粋なボランティア。趣味仲間、友だち、家族などが声を掛け合った。
かつて一帯では、行政を交えた大規模なひな祭りイベントが行われていたが、コロナ禍の影響などがあり休止された。「そんなの寂しい」と声を上げたのは、長年の東京暮らしを経て、Uターンした瀬尾順子さん(82)。シャッターばかりが目立つようになった陣屋通りの様子に心を痛める中で、ひな祭りイベントは大きな楽しみだった。長年、つるしびな作り教室を運営する山本保枝さん(70)が、独自イベント開催に向けて動き出すと、次々と賛同者が現れた。
イベントの会期は3月2日までだが、会場により開放日と時間が異なる。メイン会場の同屋敷は、木~日曜と祝日の午前9時~午後4時に開放する。