室町から紡がれた秋景 見頃は11月中旬~下旬 高徳寺(茨城・大子町)
イチョウの葉が降り積もった高徳寺の参道。中央奥が山門(茨城町の安島伊積さんが2017年に撮影)

 大子町上郷の高徳寺は、高さ30mと推測されるイチョウの黄葉で知られる。

 同寺は、八溝山に源流がある八溝川沿いに建つ。耳をすませば、近くのせせらぎの水音や、牛の鳴き声も届いてくるのどかな場所だ。

 境内には、茅葺(かやぶ)き屋根の山門がある。室町時代末期建築の特色を有するもので、町有形文化財に指定されている。

 イチョウは山門に向かって右側に立つ。黄色く染まった樹形も見事だが、黄色い落ち葉に覆われた参道も参拝者を魅了する。落ち葉は、茅葺き屋根にも降り積もる。

 山門に向かって左側に、イチョウと対になるような大木がある。近づいてみると、2本の木が寄り添うようにして一体化しているのが分かる。2本は、シラカシとカヤの木だ。この2本と、イチョウが植えられたのは、山門が建築されたのと同時期だと考えられている。

 半世紀近い年月を経ても、周囲の景色は少しずつ変化を続けている。30年ほど前まで、シラカシとカヤの2本の間には、人が入れるほどの空間があり、子どもたちの遊び場になっていたという。今は、それぞれの木が成長して空間は消えた。

 住職の齋藤博昭さん(60)は、「丸一日イチョウを楽しんでくれる人もいる。地域が紡いだ景色が愛されるのは、とてもうれしいこと」

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