「梅雨」が、梅の実が熟すころに降る雨を指すことは、その漢字からイメージしやすい。梅といえば水戸市の名物。同市飯島町のJA水戸の予冷センターを訪ねると、同市のブランド梅「ふくゆい」の選果作業の最中だった。
プラスチック製の収穫コンテナの中に、直径5cm前後の大きな青梅がごろごろと積み重なっていた。作業に当たる女性たちは、一個、一個を拾い上げて、大きさ、重さと、傷の有無をチェック。「特A」など3種に分類した。
特Aは最高位。特Aの梅がしまわれるコンテナは、他のコンテナと違ってクッションが敷かれていた。「ここで傷がついたら農家さんに申し訳ないでしょ」と女性たち。
ふくゆいの生産は2012年に始まった。梅は、それ以前から同市の名物だが、それは主に、観梅の対象としての梅。食べる方の梅も盛り上げようという目的で、生産者、加工業者、行政などが協力してブランド化を進めた。
ふくゆいを名乗れるのは、同市内で栽培された青梅のみ。品種は主に南高梅と白加賀。購入者は、梅酒、梅ジュース、ジャム、料理の材料にして楽しむという。梅干しに加工されるのは、熟成が進んで黄色くなった梅が多い。
今年は、梅の開花時期の天候の影響で、ふくゆいの収穫量が例年の半分以下だったという。「ただし、品質は最高」とは同センター長の青木泰雄さん(49)。
そのせいもあって、水戸市報で購入者を募ったところ、販売予定数の3~5倍の申し込みがあった。ほかに百貨店と大手スーパーの一部店舗でも販売するが、多くの場合で、店頭に並べるやいなや売り切れてしまう。今は残りわずかという状況だ。
菓子や、梅酒にも加工され、「そちらはお求めやすい」と青木さん。
選果作業には、水戸市の職員も駆り出されていた。青木華香さん(31)は、入職1年目で、初めてのふくゆいの選果作業。
「ふくゆいを通して、地域が一体になっている感覚がある。とても楽しいです」と笑った。